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墓地の弱さ

  • 本荘店
  • 2018年3月8日

こんにちは秋田石材本荘店 須田です。

春の訪れを感じられる今日、雪もなくなり春のお彼岸をむかえますね。
冬期期間中は雪もありお墓を見ていなかった方々が大勢いらっしゃると思います。
そんなとき、いざお墓を見てみると傷んでしまっていることがあります。これはお墓本体の事象ですが、もうすぐ東日本大震災から7年目をむかえます。突然と起こる「地震」について「墓地」という視点でどう捉えるか不安を持たれる方もいるかと思います。

皆さんご存知と思いますが、日本の土地は広くありません。広くないのにもかかわらず国土面積の半分以上を山岳、丘陵地帯が占めています。そのなかの限られた平野に人口が集中している状態です。この平野部も河川から形成され、地盤が積もった堆積型と水の流れによって削られてできた侵食型の主に2つのタイプが日本の平野となっています。この日本の平野は生産、貿易という活動を行うには非常に利便性に優れ、何百年も前からその素質を秘めていた土地ではありますが明治以降飛躍的に経済発展を遂げ、世界にも影響力のある都市として活動を続けています。しかし、生活の視点からみていくと人口の集中が様々な点で問題が発生しております。人口が増えることによって交通機関の混雑や住宅地の密集は必至の課題であると言えます。このような状況で地震が発生すると想像もできない様な被害を受けると言うことはだいたいこれまでの報道等でいわれているとおりです。この点については私自身も素人であるため今回触れることはありません。それでは墓地という見方ではどうなるのか、この墓地というものも人口の集中とお墓特有の事柄によって多々問題があります。
まず、人口が過密になっているこの状況で限られた平地内に自然な条件で墓地を求めることは容易ではありません。そのため、山地、丘陵や台地を切り崩したり、それら斜面を利用しての段々畑のような雛壇形状の墓地を"造成”しているのが実情です。また古くからある墓地についてですが、もともとお墓は故人を土の中に埋葬するところでしたので、掘り易い地盤が選ばれていました。そのため軟弱な地盤であり、墓地自体の基礎が不安定で地震等による下や横からの揺れには抵抗力が弱いのです。さらに、住宅と比べても墓地の場合は一坪から二坪程度のマス目状の小さな土地面積であり、住宅の場合はこれの約10倍ほどの面積があります。住宅の場合でも地震の揺れは課題となっている中、墓地の広さはこれよりもさらに小さいものとなっています。

この様に地震の伝わりを波であらわすとお墓は大海原に浮かぶ小舟同然となり、ブローチングしている状態となります。それに加えてお墓の場合は小さいものでも、背が高く、重心が高いところにあるため非常に不安定なのです。

・一般的な平野の場合
特徴としては水田を埋め立て数メートル嵩上げするなどの"盛土"の造成タイプがあげられます。

 こちら①のお墓は矢印で示したところにわずかながらコンクリートの基礎が見える様に、ここに基礎工、そして一枚板の敷石の上に建造されています。こちらの被害が最小限で済んでいるのと対比する様に右側②のお墓は本体がばらばらに飛び跳ねて崩壊しています。基礎が確認できていませんが、緩ければ下から若しくは、横からの衝撃はほとんど受けてしまうため本体が固定されていても崩れやすくなります。

・丘陵地の平坦部の場合

 こちらのお墓は丘陵の頂上部分にある平坦地に作られたもので、周りに草木が生い茂る様子から地下水の水位が高く地盤の緩さが想定できます。この墓地はお墓の周りを砂利で"盛土"造成したタイプになります。
右の画像の通り、お墓本体の重みがかかるように本体がある後ろのほうに沈下してしまっているのがうかがえると思います。

・旧河川道の場合
旧河川道と言うこともあり非常に軟弱な地盤で液状化現象も発生しやすい。

 こちらは寺院傍の霊園ですが、至る所の基礎が歪んでしまっていることに加え、お墓本体のみならず墓誌や灯篭までもが散乱しています。衝撃はほとんど吸収されずにさまざまな方向に散らばっている様子から非常に不安定な地盤ですが、このような地盤の墓地は各地に存在しています。

・台地の場合

台地上の地盤は礫質、砂質の地盤であり、排水が良好で水はけが良い地盤であるために比較的安定している地盤と言える。しかしながら降水量が異常な量に達すると排水がうまく回らず一時的にゆるくなってしまう場合もある。右の画像はお墓の中でも背が低く、安定している洋型タイプであるが①と比べてもわかるように手前の②は本体と張り石も崩壊してしまっている。

・傾斜の利いた地面の場合

 こちらは山地や丘陵の急斜面に造成された墓地である。急斜面の場所に墓所分のみの"盛土”で安定させるために大変緩い地盤となる。右の画像のようにしっかりとしたコンクリート基礎に加え棹石本体には鉄筋で結ばれている。基礎工事は十分だったと言えるが手前の五輪塔の傘が跳ねる等の動きはあったようだ。

・地盤補強工事による対策


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 こちらの画像は先に紹介したように特定の墓地を砂利で盛ったタイプである。周りの草の茂り具合からも地下の水は豊富な場所とも考えられ、緩い地盤である。この画像を見るに地表には全く基礎工事の様子は伺えないが、地中にしっかりと基礎が埋め込まれている。地表に見えないようにしている点など、非常に高い技術でもある。

以上のようにこれから墓地を求める方や今の墓地に興味や不安がある方は一度お近くの墓石店にご相談されてみてはいかがでしょうか。

石材業界では近年になりお墓の耐震と免震工事加工に力を入れ始めています。
しかしながら完全に回避することはできません。ですが、基礎工事をしっかりと入念にチェックして工事を行うことによって災害による被害を軽減し最小限まで抑えることは可能です。被害を少なく抑えることができれば大切なお墓の復旧も早く行うことができます。